最初はデジタルでモノクロを撮っていたが、デジタルモノクロではのぬめっとした画像に粒子を乗せるのが常である。

DxO FilmPackといういろいろなモノクロフィルムの銘柄を再現するソフトも出ている。

そんなことするなら、結局最初からフィルムで撮ればいいじゃないと思った。
それに、デジタルの白飛びもいやだった。あるところで突然白が飛んでしまう。
ネガフィルムであれば、ある程度粘りながら白に繋がっていく。

そして、ちょうどそのころ、突然ライカが欲しくなった。
でも、暗室でプリントするまでは時間的な余裕もなかったし、すでにインクジェットプリンターやらフォトショッブは揃えきっていた。

これはもうフィルムをスキャンして、デジタルプリントをするしかない! 
すでに国産メーカーのスキャナは新品販売していなかったが、台湾メーカーのフィルムスキャナがあったので、それを手に入れた。

そこから、また長い戦いが始まった。フィルをうまくスキャンしなくてはいけないし、まだまだ上手くないプリント技術も高めていかなくてはならない。
そして、撮影も。

でも、とにかく時間をかけて寝る間を惜しんでいけば技術は上がっていくもので、それなりのプリントには近づいていった。それにともない、写真もすこしづつ面白くなっていった(気がする)。

本当はフィルムかデジタルどちらがよいという話ではないのだということはわかっている。結局自分が気持ちよく撮影して、自分が満足できるプロセスで、自分の目指す結果を出すという過程が楽しいのだ。

ただ、それだけのことで、僕にとってそれはフィルムカメラにフィルムを積めて撮影することなのだ。  

デジタルカメラでは得られない感触が僕を撮影に駆り立てるのだ。