写真を勉強し始めてから5年くらいほとんどモノクロだった。フィルムはモノクロだし、デジタルで撮ってもモノクロプリント。だから、「色」を無視して撮り続けていた。

安達ロベルトさんのゼミに参加して、「色を撮る、光を撮る」というレクチャーと課題があった。そこで、それまで無視してきた色と向き合うことになった。
彼から「渋い赤を感じる」と言われた。無意識のうちに、そういうものに反応していたのだろうか。それから僕はカラーに転向した。

僕は僕の見た世界を、僕が反応した視覚世界を、できるだけリアルに再現したい。そして、鑑賞者にあたかもその場所にいたかのような追体験をしてもらいたい。僕自身がそういう写真が好きだから。

僕らは普段カラーでものを見ている。だからこそ、カラーで撮って、カラーでプリントすべきなのだと理解した。

以前は、意識なくモノクロプリントばかりしていた。訓練としては良かったし、色のコントロールをしなくて良いという点で楽だったのだ。

僕は「カラーで見たものを、カラーで撮って、カラーでプリントする。」目の前の世界を捕まえたいから。