フィルムをデジタル化する際に必要なのがスキャナー。
フィルムの需要低下が止まらない現代(現代日本)においては、フィルムスキャナーは全滅状態。
現状では、エプソンかキャノンのフラットベッドスキャナーを利用するのがメインでしょう。

しかし、いまや元気な台湾。フィルムスキャナーを製造しているメーカーがあります。
PlustekとPacific Imageの二社。
日本でも販売している会社があるけれど、なんだかいろんなコストが乗って結構お高い。
だったら、エプソンのフラットベッド買ったほうがいいや・・・ってお値段になってしまっている。
今は円安だから微妙だけど、円高の時期にはアメリカから個人輸入のほうが安かったんだよね。

さて、今回はエプソンのフラットベッドスキャナーとPlustekのフィルムスキャナーの画像を比べて見たい。

 
僕の持っているスキャナはこちら。
まず、フラットベッドスキャナーはエプソンのGT-X970。現行機は980で、販売終了機。 ちなみに現行の980との差異は下記のとおり(漏れがあるかも。すんません)。
・970にはFirewire端子あり。980にはなし
・980のフィルムホルダーにはアンチニュートンガラスがついており、フィルムの平面性を高くできる。
・970の光源は冷陰極管。980はLED。

970と980の際は本題ではないのでこれくらいに。

一方フィルムスキャナーは、Plustek Opticfilm 7400。
こちらも過去の世代で、最新機種は8100とか8200とかの機種名になってます。
が、実質変わらず・・・。ソフトウェアが異なるだけのはず。

7400は下位機種で、7600という上位機種が合った。
7400はゴミ取り用の赤外線のスキャンができない、ソフトウェアが下位のものしかついてこない、という違い。  解像度はGT-X970が最大6400dpi、Plustekが最大7200dpiと少し高い。
今まで使ってきた感じだと、Plustekのほうがよりシャープにスキャンできるんだけど、その分ノイズが多いと感じるし、フィルムの傷など鮮明に拾ってしまう。
一方で、GT-X970は若干甘くなるがノイズが少なく、またフィルムの傷などが目立ちにくい。
おそらく、フラットベッドのGT-X970はガラスが間に挟まることによる甘さに加え、光源が冷陰極管であることによる甘さが加わって、傷などが目立ちにくいのだと思う。

また、この2機種の違いとして考慮すべきは下記の点。
・GT-X970はRGBの光源のゲインを独立してコントロール可能。一方7400不可。
・GT-X970はマルチサンプリングが可能。 この機能を利用することで、ノイズを少なくスキャンできる。
・7400はマルチパスという機能が利用できる。この機能を利用することで、マルチサンプリング同様ノイズを少なくできる。

ここでマルチサンプリングとマルチパスの違いを説明すると、マルチサンプリングは1回の走査で何度もスキャンするので、基本的に画像のズレが発生しない。
一方、マルチパスは走査を何度も繰り返し、複数の画像を合成するので走査ごとに微妙なずれが発生して画像が甘くなるというデメリットが有る。この点マルチサンプリングのほうが優秀。

これを加味して比較しだすと複雑になるので、今回はこれらの機能は利用せずに進める。
スキャンする原板はRollei RPX400 35mm判、T-MAX Developerで現像したもの。
現像結果としては、結構軟調になってしまっている。
これをスキャンしてPhotoshopで適切な感じにレタッチして比較したい。

というわけで、比較する画像はこちら。
BW002_004_Optic7400_7200_1smpl


画面中央のブランコの右にある柱の部分で比較。
左がGT-X970でスキャンしたもの。右がOpticfilm 7400でスキャンしたもの。
それぞれ、6400dpi、7200dpiの100%拡大。
やはりフィルムスキャナーのほうがシャープにスキャンできていることがわかる。
フラットベッドスキャナーは甘い・・・。

Vuescan_GTX


そこで、フラットベッドのほうにアンチニュートンガラスを追加してみる。

GT-X970用のフィルムホルダー用のガラスをアメリカから輸入しておいた。
これを使用してスキャンしてみる。使用しない場合とくらべて多少甘さが減った。
左がGT-X970にアンチニュートングラスを使用したもの。
中央はGT-Xでアンチニュートングラスなし。
右はOpticfilm 7400。
残念ながらフィルムスキャナーには届いていない。

Vuescan_GTXANG


別の場所を拡大。
順序は上のものと同じ。
Vuescan_GTXANG_2


確かにフィルムスキャナーのほうがシャープではあるのだが、同時にざらざら感じません?
シャープであるがゆえに粒子がざらざらと出てしまっている。あるいは、ペッパーグレインと呼ばれる現象の可能性もある。

フラットベッドのGT-X970はシャープネスではかなわないが、粒状性を軽減した状態とも言える。
7400の画像の粒状性を軽減したら、どっこいどっこいな感じ。
いずれにしても、10000画素近いデータを等倍でチェックしているので差が出ちゃっているわけだが。
8x10くらいのプリントでうまくシャープネスを使えばここまでの差は気にならないでしょう。
(とはいえ、細部が甘いとやはり全体的に甘く感じることもまた事実・・・)

とにかく重要なのはやはりフィルムの平面性の確保だということ。
フラットベッドスキャナーを使う場合にはやはりガラスの使用などが必須だ。
そういう点では最新のGT-X980はフィルムホルダーにアンチニュートンガラスを使用しているので効果的であろう。

ちなみに、GT-X980用のフィルムホルダーをどうやらGT-X970でも利用できるらしい・・・。
フラットベッドスキャナーは中判や大判にも利用できるので、そちらにも手を出したい人にはオススメだし、日本メーカーであることからサポートなど安心できる。

35mmで究極のシャープネス!粒状性なんかどうでもいい!というのであればPlustekを利用するのも全然問題ない。
風景写真などシャープネスが求められる写真であれば、とにかくフィルムスキャナーを使う必要がある。
そこまでシャープな写真が必要なら、デジタルでいいんじゃない論も考えましょう。