今のデジタルカメラの解像度はものすごい状況になっている。
Canonの最新のカメラは35mmフルサイズセンサーで5000万画素を実現している。

解像感は大判フィルム(8x10くらい)くらいまで届いているのではないか。
もしかしたらもうそれを越えているかもしれない。

そんな状況のなかで、35mmや中判で解像感を求めてはいけない。
それが大事なら、フィルムになど手をつけるべきでない。
そもそも35mmフィルムカメラは画質よりも小型化を優先したカメラだ。
高画質、高解像を求めて作られたものではない。
いつでも、どこでも容易に持ち運ぶことができる。
明るいレンズが作りやすく、シャッタースピードが稼ぎやすい。

そう、まさにスナップショットのためのカメラと言ってよい。 
35mmフィルムの名作の多くは、スナップショットだ。
キャパにせよ、森山大道にせよ、小さなカメラを持ち歩き、その視線で感じたものを捕らえるという撮り方。 

荒れた粒子の表現や、抽象的な表現。瞬間を捕らえる表現。暗い環境(=普段の室内)での表現。
これらのための道具が、35mmフィルムだ。

さて、35mmに限らずフィルムの優位性ってなんだろう?
それは、デジタルカメラ用のセンサーとフィルムの光の受け方の違いから生まれてくる。
 
詳しくはまた別の機会にするとして、フィルムは赤、緑、青に反応する3つの層が重なり各層で光の量が記録される。また、化学的反応であるから、その記録はアナログであり無段階の階調を持つことになる(もちろん、上限と下限は存在する)。

また、ネガフィルム、ポジフィルムでもその受光特性は異なってくる。
こういったデジタルカメラ用のセンサーとの特性の違いが、今あえてフィルムを使う理由になるのだと思う。